この試験に合格すれば、官報合格だ!

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 あの坂をのぼれば、海が見える

子どもの幼稚園の送迎や買い物に自転車を使っています。

私の住む場所は坂道が多いため、自転車では行きはよいよい、帰りはキツイ!

坂道を自転車で登るのはしんどく、自転車に乗るたびに思い浮かぶ言葉があります。

「あの坂をのぼれば、海が見える。」

国語の教科書に載っていた文章の一説ですが、不思議とこの言葉を口ずさむと、「もうひと踏ん張り自転車をこいでみよう!」という気持ちにさせられます。

 原文を読んでみる

ブログを書くにあたり、久々に原文を読んでみることにしました。

あの坂をのぼれば、海が見える。
 少年は、朝から歩いていた。草いきれがむっとたちこめる山道である。顔も背すじも汗にまみれ、休まず歩く息づかいがあらい。
 あの坂をのぼれば、海が見える。
 それは、幼いころ、添い寝の祖母から、いつも子守唄のように聞かされたことだった。うちの裏の、あの山を一つこえれば、海が見えるんだよ、と。
 その、山一つ、という言葉を、少年は正直にそのまま受けとめていたのだが、それはどうやら、しごく大ざっぱな言葉のあやだったらしい。現に、今こうして、峠を二つ三つとこえても、まだ海は見えてこないのだから。
 それでも少年は、呪文のように心に唱えて、のぼってゆく。 
 あの坂をのぼれば、海が見える。
 のぼりきるまで、あと数歩。半ばかけだすようにして、少年はその頂に立つ。しかし、見下ろす行く手は、またも波のように、くだってのぼって、その先の見えない、長い長い山道だった。
 少年は、がくがくする足をふみしめて、もう一度気力を奮い起こす。
 あの坂をのぼれば、海が見える。
 少年は、今、どうしても海を見たいのだった。細かく言えばきりもないが、やりたくてやれないことの数々の重荷が背に積もり積もったとき、少年は、磁石が北を指すように、まっすぐに海を思ったのである。自分の足で、海を見てこよう。山一つこえたら、本当に海があるのを確かめてこよう、と。 
 あの坂をのぼれば、海が見える。
 しかし、まだ海は見えなかった。はうようにしてのぼってきたこの坂の行く手も、やはり今までと同じ、果てしない上がり下りのくり返しだったのである。  
 もう、やめよう。
 急に、道ばたに座りこんで、少年はうめくようにそう思った。こんなにつらい思いをして、いったいなんの得があるのか。この先、山をいくつこえたところで、本当に海へ出られるのかどうか、わかったものじゃない。
 額ににじみ出る汗をそのままに、草の上に座って、通りぬける山風にふかれていると、なにもかも、どうでもよくなってくる。じわじわと、疲労が胸につきあげてきた。
 日は次第に高くなる。これから帰る道のりの長さを思って、重いため息をついたとき、少年はふと、生きものの声を耳にしたと思った。
 声は上から来る。ふりあおぐと、すぐ頭上を、光が走った。翼の長い、真っ白い大きな鳥が一羽、ゆっくりと羽ばたいて、先導するように次の峠をこえてゆく。
 あれは、海鳥だ!
 少年はとっさに立ち上がった。
 海鳥がいる。海が近いのにちがいない。そういえば、あの坂の上の空の色は、確かに海へと続くあさぎ色だ。
 今度こそ、海に着けるのか。
 それでも、ややためらって、行く手を見はるかす少年の目の前を、ちょうのようにひらひらと、白いものが舞い落ちる。てのひらをすぼめて受けとめると、それは、雪のようなひとひらの羽毛だった。
 あの鳥の、おくりものだ。
 ただ一片の羽根だけれど、それはたちまち少年の心に、白い大きな翼となって羽ばたいた。

 あの坂をのぼれば、海が見える。
 少年はもう一度、力をこめてつぶやく。しかし、そうでなくともよかった。今はたとえ、このあと三つの坂、四つの坂をこえることになろうとも、必ず海に行き着くことができる、行き着いてみせる。
 白い小さな羽根をてのひらにしっかりとくるんで、ゆっくりと坂をのぼってゆく少年の耳に・・・あるいは心の奥にか・・・かすかなしおざいのひびきが聞こえ始めていた。
               ~ 杉 みきこ著「ちいさな町の風景」から ~

 税理士受験を思い出す

大人になって改めて読み返すと、深いですね。

「もう、やめよう。」のあたり、税理士受験を思い出してグッと来てしまいました。

私の税理士受験時代は結構長いです。

1995年(平成7年)21歳の時に始めて、官報合格したのは2002年(平成14年)27歳の時。

7年の受験勉強時代の内、「もう、やめた!」と思って1年間勉強をしなかった期間があるので、6回の受験をしました。

「この試験に合格すれば、官報合格だ!」と気合を入れて臨んだ受験は3回。

1回目は法人税法、相続税法、消費税法を受験 → 消費税法のみ合格(平成11年)

2回目は法人税法、相続税法を受験      → 法人税法のみ合格(平成13年)

3回目は相続税法のみ受験          → 相続税法合格で官報合格(平成14年)

私の友人には2年で合格した強者もいるのですから、比べれば長いです。

正直、合格までに時間がかかったことに多少の引け目も感じていました。

けれど、「あの坂をのぼれば、海が見える」の原文を久々に読んでみて、感覚が変わりました。

そんなに何回も不合格になっているのに、受験勉強を続け、最終的には官報合格できたのだから、すごくない?

「もうやめよう」と何度も思いながらも「どうしても合格したい!」という強い思いが私の中にあり、今、こうして税理士として開業出来ているわけですから、感慨深いです。

ただ、受験時代の私に一つ伝えたいこともあります。

官報合格のために臨んだ受験時は、自己啓発本を読んで自分を鼓舞し、「絶対合格する!」という強い思いがあれば、必ず合格できる!と、毎日合格できた時のイメージングまでしていました。

けれど、結果不合格だったとき、「強く思っても、イメージングしても、ダメじゃない!」と張りつめていた糸がプツンと切れたようになったことがあります。

その時の私に伝えられるなら、「強く思えば願いは叶う。でも、一度で叶うかどうかはわからない。でも、それは決して失敗ではない。不合格が続いても最終的に合格できれば、願いは叶った、ということなのだから。」

発明王のエジソンも言っています。

私たちの最大の弱点は諦めることにある。

成功するのに最も確実な方法は、

常にもう一回だけ試してみることだ。

どうしても叶えたい願いがあるなら、諦めない、続けることが大事なのだと改めて思いました。

今、税理士受験に臨んでいる皆さんの中にも、今度こそ官報合格!と思って臨んでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃると思います。

自分を信じて、全身全霊で勉強に臨み、諦めずにチャレンジを続ければ必ず合格できます。

そして、税理士になってからが本当のスタートです。

応援しています。

【 編集後記 】

この記事を書く前に、自分の受験遍歴をExcelにまとめてみました。

簿記論・財務諸表論は2回、法人税法・消費税法・相続税法は3回の受験で合格していました。

私には必要なことだったのでしょうね。

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