相続に関する改正民法成立

Pocket

 改正のポイントは

高齢化社会を反映した相続に関する改正民法などが7月6日、参院本会議で可決、成立しました。

2020年7月までに順次施行されます。

(翌日7月7日(七夕の日でしたね)は、本来なら1面トップを飾るべき内容でしょうが、オウム真理教元幹部7人の刑執行の記事に影が薄くなってしまいましたね。)

今回の相続に関する改正民法などの主なポイントは次のとおり。

1.配偶者の居住権を保護

遺産分割後も、配偶者が自宅に住み続けられる権利「配偶者居住権」が新設されました。

2.結婚20年以上の夫婦の住宅譲渡優遇

結婚20年以上の夫婦の場合、配偶者が生前贈与・遺贈された自宅は遺産分割の計算外とすることができます。

3.相続人以外の親族の介護貢献に対する金銭請求が可能に

相続人以外の親族(長男の妻など)が介護や家族の手伝いをした場合、相続人に金銭を請求できるようになりました。

4.預貯金の仮払いが可能に

遺産分割協議が成立する前でも、葬儀代や生活費を故人(被相続人)の預貯金口座から引き出せるようになりました。

5.遺言制度の見直し

・ 自筆証書遺言の財産目録は、パソコンでも作成可能になりました。

・ 自筆の遺言書を、法務局で預かる制度が新設されました。

 配偶者居住権とは?

配偶者居住権は、「長年連れ添った夫に先立たれた妻」を念頭に、夫の死後も妻が死ぬまで自宅に安心して住み続けられる権利です。

自宅を「住む権利(居住権)」と「持つ権利(所有権)」に分けられることがポイント。

現行では、残された財産が自宅と預貯金しかない場合、相続人が妻と子どもの2人の場合、遺言書がなければ法定相続分に応じ、妻と子どもは財産を1/2ずつ受け取ることになります。

その為、妻が自宅を相続したら財産の1/2を超えるため預貯金はもらえないケースや、話し合いがまとまらなければ自宅を売却せざるを得ない可能性もありました。

(相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で、双方納得すれば、自宅を妻が相続することはもちろん構いませんよ。)

新制度では、妻が自宅の居住権を相続し、長男は自宅の所有権を受け取れば、妻は自宅に住む権利も、預貯金の1/2も受け取れるわけです。

実際には、妻と子どもだけなら話し合いがまとまりやすい(のでは?)と思いますが、他人(前妻の子や、子どもがいない夫婦の場合の夫の兄弟姉妹)が相続人になった場合には、活きてくる制度ではないかと思います。

なお、居住権の売買や譲渡はできない点と、居住権を設定するには法務局で登記をしなけらばいけないことが留意点です。

また、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合「配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居は、原則として遺産分割の対象としない」ことになりました。

その為、自宅以外の預貯金等を妻がもらえる権利が増えるため、こちらも残された配偶者を優遇する規定ですね。

(婚姻期間20年以上・・・というのが、ネックですが)

 長男の嫁等対策になるか?

現行では、義理の父母を生前に介護していた長男の嫁等は、義理の父母が亡くなっても相続人ではないため、遺産をもらう権利はありません。

長男の嫁らが義父母を介護するケースが少なくない中、「あまりに苦労が報われない」として新たに設けられたのが、相続人ではない親族が介護などをした場合、相続人に対して金銭を請求できる権利。

支払額は原則として当事者間の協議で決めますが、合意できなかった場合は家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

そうなると、介護日記などの記録をつけるなど、介護の事実や時間、内容が客観的にわかるものを残しておくことも今後は大事になると思います。

なお、現行では、長男の嫁に財産をあげたいと思う時は、亡くなった父母が遺言書で「長男の嫁には〇〇をあげる」など、遺言として残しておく必要があります。

ただし、「遺言」の作成率は高くはありません。

年間130万人の死亡者に対する「遺言」の割合は、10%に満たないのが現実。

その為、遺言書の利便性を高めるための制度も設けられました。

遺言書は、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に分かれます。

自筆証書遺言は自分で書く遺言ですが、これまでは全て自筆する必要があったものを、財産目録(相続財産の一覧表)はパソコンなどで作成することが可能になりました。

また、自筆証書遺言の場合、紛失するデメリットもあったので、新しく法務局で遺言を預かる制度もスタートされます。

料金を払って法務局で保管してもらえば、紛失の心配がなくなるうえ、預ける際に署名や押印など最低限の書式の確認を行うため、不備によって遺言が無効になることも防げます。

自筆証書遺言の場合、遺言をする方が法務局に出向く必要はありますが、残された家族に「争族」が起こらないよう、今回の民法改正を機に「遺言書」を書く方が増えれば・・・と思います。

2020年7月までに順次施行ですので、現時点でお嫁さんに財産をあげたい方は、「遺言書」を書いて下さいね!

【 編集後記 】

遺産分割を巡る法廷での争いは増加傾向にあり、遺産総額が1000万円以下が3分の1を占め、5000万円以下まで含めると全体の75%だとか・・・

相続税の申告がない方が、「争族」は多いということですね。

Pocket

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。