「税金」のない世界は・・・?
小中学生向けの租税教室講師を行うにあたり、国税庁の「税の学習コーナー」にあるビデオ『マリンとヤマト 不思議な日曜日』という小学生向けのアニメビデオを拝見しました。
「何でも願いをかなえてくれる」妖精の力で、「税金のない世界」を主人公のマリンとヤマトの姉弟が体験する、という話ですが、大人の私が見てもインパクトがありました。
「税金」は「取られる」「持っていかれる」という、どちらかというと負のイメージが強いのではないでしょうか?
サラリーマンの方であれば給与から天引きされているので、「納税している」という意識より自分の給料が減った、という風に思う方も多いかも・・・
「税金」がなければ、もっと手取りが増えるのに!と考える方もいらっしゃるでしょう。
けれど、もし「税金」がなくなったらどうなるでしょう?
アニメの中では
・ごみを回収する会社がつぶれて、町中ごみだらけ
・道路を通るのに、通行料を取るあくどい人間が現れる
・橋が壊れても誰も修理しないので通行止め状態
・公園を管理する人がいなくなり、公園がなくなる
・信号が消えて、交通事故が頻繁に起こる
・交番での道案内などがファーストフード店のメニューのように有料になる
・火事を消すのにかかる多額の費用が、火事を起こした人に請求される
・救急車の利用が有料なので、お金がない人は頼めない
(アメリカでは救急車の利用が有料で、ニューヨークで約3万円、サンフランシスコで約4万円と週によって金額が異なります。)
・高齢者も年金がないので働かざるを得ない
・学校の学費や教科書代を全部払うことになり家計が苦しくなる
などの困った事態がリアルにイメージできました。
「税金」がなくなったら、全部自己負担になるのです。
そう考えれば、今、当たり前に受けている公共サービスの有難さを改めて感じますね。
「税金」は何のため?
では、「税金」は何のために使われているのでしょうか?
大人でも、なんとなくは分かっていても答えられない質問かもしれません。
租税教室では次のように分かりやすくまとめて伝えます。
「豊かな生活のために」(道路や橋、ダムの建設等に)
「健康に生きるために」(医療や衛生、スポーツ施設等に)
「文化的に暮らせるように」(図書館や児童館等に)
「安心して暮らせるように」(警察や消防に)
そして、「税金」は誰のためのものかというと、みんなのためのもの。
私たちの自由と権利が認められた社会を保つためのものなのです。
「税金はなぜ必要なのか?何のために使われているのか?」というシンプルなことに向き合うことは(税理士という立場であっても)今まで殆どありませんでしたが、子どもたちへの租税教室のために「税金」のことを学ぶ機会を与えられ、改めて「税金」の大切さを感じました。
「税金」はしょうがなく取られるものではなく、自分自身、家族や全ての人々の幸せな生活に役立てるために、自らが稼いだ所得の中から「納める」ものである、ということを子どもたちだけではなく、今実際に「税金」を納めている方々にも認識して頂きたいと思います。
取られる(マイナスイメージ)を自ら「納める」(プラスイメージ)にすれば、同じ納税でも気持ちが変わりませんか?
しっかりと稼いで自分を満たし、しっかりと「税金」を納めましょう!
夜間ゴミ収集の福岡市は珍しいらしい
話は少し変わって、先日新聞に
「夜間ゴミ収集 実は珍しい」
という記事をみつけました。
私が住む福岡市ではごみ収集は深夜から未明にかけて行われます。
そういえば、ドラマのシーンでは朝ゴミを出すシーンが度々あり、私としては逆に「朝にゴミ収集なんて珍しい」と思っておりました(笑)
『1台に3人の作業員が乗り込み、戸建て住宅の玄関先やマンションの集積場から手際よく回収していく。深夜で車は少なく、作業はスムーズ。袋が破れて散乱したごみも、ほうきとちりとりで集める。』(読売新聞より)
この記事を見て、謎が解けました!
夜にゴミを出すため、カラスによる被害はないのですが、代わりに猫の被害が・・・
猫が袋を破るのを防止するため、我が家では2日分の新聞紙を指定ゴミ袋の内側に入れて対策しているのですが、それでも朝、猫に噛みちぎられたであろう新聞紙やビニール袋の破片が残っていることがあります。
それでも、その破片はごく少量。
業者の方がきちんと ほうきとちりとりでキレイにしてくれていたのですね!
ありがたいことです。
もし、「税金」のない世界だったら、ゴミ回収業者がつぶれて、町がゴミだらけになることも可能性としてはあります。
夜に出したゴミが朝になったらきれいに回収されていることは当たり前のことではありません。
税金を払うのは嫌だと考えている方も、「税金のない世界」は困りますよね。
ご自身の納めた「税金」の使い道に少し思いを馳せてみませんか?
【 編集後記 】
本日は租税教室の打ち合わせで母校まで。
久々に門をくぐる母校に、税理士・講師として行けるなんて、感慨無量です。